今年の初呑み切りについて
例年ですと、毎年6月になりましたら、7月下旬に開催する初呑み切りのご案内をしておりますが、今年はまだご案内ができておりません。
今年は周知のように新型コロナウイルス感染拡大のため飲食店様をはじめ酒類業界は大きな打撃を受け、現在も持続化給付金や各都道府県の制度融資等で何とかつないでいるといった状況で、秋からの酒造りができるかもまだ言えない状況です。
5月下旬に緊急事態宣言が解除され、今月19日になりまして越境移動が解禁され市場も本当に少しずつではありますが元に戻ってきているように思われます。飲食店様も通常営業に戻られるところ多く見受けられ、大変ありがたい状況になってきております。
しかしながら、まだ完全に新型コロナウイルスの感染は終息しておりません。また期待されます特効薬も開発もまだ当分先のことになりそうですので、これが開発されないかぎり経済は完全には回復しないものと思われます。
6月に入りまして、少しずつ「今年の初呑み切り」についてのお問い合わせが増えてまいりました。最初は仕事の延長から始まった初呑み切りですが、今では他都府県からも多くのお客様がお出でになる大きな行事となりました。この初呑み切りに来られるお客様からいただく生の声は、秋から発売する「ひやおろし」のタンクの選択に大きな参考資料となり、そして晩秋からの酒造りの方向性を決めることにも大変参考にさせていただいております。同時に新しいお客様との交流等も弊社にとりまして大変重要なものとなりました。
そして越境移動も解禁され、経済活動もかなり再開されている現状ですので、初呑み切りを行うことも可能になってきてはいる状況ですが、最近感染者数もやや増えてきており、当滋賀県でも感染者が出ました。
狭くて換気状況が良くない蔵内で行っている初呑み切りは、例年どおりに開催すると、クラスターが発生しやすい状況であることは間違いなく、終息しないかぎり、例年通りに行うことは困難です。
しかしながら、蔵元、杜氏、蔵人や営業担当で行う通常業務としての初呑み切りは行います。タンク貯蔵のお酒の呑みは切りますので試飲酒はできます。現在、お客様からのお問い合わせがますます増えてきていることや、やはりひやおろしのタンクの選択や未出荷酒の出荷時期の決定は、広くお客様の意見を参考としたい弊社の考えもあります。
出品酒をタンク貯蔵と未出荷酒のみとし出品点数を少なくしひとつひとつの間隔を広くとる、参加できる人数を招待(抽選)として人数をしぼる、2時間程度で完全入れ替えとする、蔵ではなく他の会場を使用する等考えました。しかしきき酒という性格上、マスクを取らないとできないこと、意見交換等でどうしても話すことが多くなってしまい、マスクがない状態では飛沫が飛びかうことも、きき猪口に試飲酒を注ぐ時に多数の方が瓶を持つ等があり、感染のリスクを無くすことができません。そんな中初呑み切りを開催し、それが原因で感染が起こってしまった場合、今後の初呑み切りの開催も危なくなってしまうことも考えられます。この様に色々なことを考え、迷い、そして時間だけが過ぎていくことで、予定をされているお客様や、仕事の準備をする弊社の従業員にも迷惑をかけてしまっております。
以上のことから、大変残念ではありますが、今年の初呑み切りは中止とすることが最良と考えました。期待をして、開催の連絡を待っておられるお客様には大変申し訳ありませんが、ご理解いただけますようお願いいたします。
今年はこの様なことになりましたが、今後もお引き立ていただけますようよろしくお願いいたします。
上原酒造株式会社
上原 績
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